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だって昼休みは恋人と仲良く昼飯食うはずだろう?なのに、彼は一人だったから。
もしかしたら、今から迎えに行くか、どこかで合流する予定だったのかもしれないけれど、ここは中庭だ。
何でこんな所にいるのかも疑問だったけれど、それよりも逃げなくてはと反射的に踵を返した。
そんな俺を彼は見逃してくれなくて、全力疾走の追いかけっこ。
けれど、俺は捕まった。捕まってしまった。
必至に逃げて、いつの間にか体育館裏。なんでこんなことろに逃げ込んでしまったのか。
前は行き止まりだし、後ろは彼が立ちふさがっているから、もう逃げられない。
「何で逃げるんだよ。」
「理人が追いかけるから?」
不機嫌そうな彼にふざけたように答えれば、嫌そうな顔をして一歩一歩近づいてきた。
もう諦めるしかない。俺は言わなければいけなんだ。きっと、今がその時。でも。
「恋人ほったらかしでいいの?探してるかもよ?」
「今は関係ないだろう。どうして避けるんだよ。なぁ?朔。」
始めはキツメの言葉も最後の方は優しくて、やめて。そんな風に俺の名前を呼ばないで。
泣きそうになってしまうから。
怖い。怖いよ。お前と、理人と離れることは、すごく怖いんだ。
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