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「んー、いいじゃん別に。今は理人だって、新しい恋人に夢中でしょ?」
「それとこれとは別。恋人できたからって、何で俺のこと避けるの?」
夢中なのは、否定しないんだね。まぁ見てれば分かるけどさ。
だから、だからこそ側になんていれないんだよ。分かってよ、理人。
俺に別れの言葉を言わせないで。
「なぁ、何で?今までだって恋人いたって一緒だったじゃん。それとも朔は俺が“男”の恋人作ったから、拒否ってんの?」
言われた言葉に体が反応する。肩がビクっと上がったのを、彼は見逃してはくれない。
でも、そうだけど、そうだけど違うんだ。
男の恋人が原因だけど、それは理人を軽蔑してるんじゃなくて…。
「そっか。朔は俺が気持ち悪いから、逃げてるんだな。ごめん。気付けなくて。」
違う。違うんだ。俺が、理人を好きだから。その“恋人”に嫉妬しすぎて見ていられないから。
寂しそうに笑う彼。きっとこれで彼との距離はもっと広がる。
明日から、一緒に登校することもなく、探してもくれない。逃げても、追いかけて来てくれない。
俺は、理人の言葉を否定できないから。否定したら、本当のことを言わなきゃならないだろうから。
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