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ごめんね、傷つけたかな?俺は、やっぱりお前が好きだよ。
どんな理人でも、好きなんだ。
「うん。分かった。これからは、あんま近付かないようにするわ。ごめんな、朔。」
なにも言わない俺に、理人はそれだけ言い、背を向け去って行った。
理人の姿が見えなくなったら、我慢していた涙が零れ落ちた。
彼が行ってしまった。もう戻れない。
隣で笑いあうことなんてできない。俺より恋人を選んだ理人。うん。当然だよな。
でも、苦しいよ。悲しいよ。
この気持は簡単には消えないけれど、もし過去にすることができたら、その時はまた友達として、笑いあいたい。
なんて都合がいいだろうか?
誰もこない体育館裏で、俺は声を押し殺して泣き続けた。
今まで通り彼の恋人が女の子だったらよかったのに…。
そうすれば俺は今でもお前の幸せを、心では泣きながらでも、隣で応援できたのに。
やっぱり女の子じゃないとダメなんだと、自分に言い聞かせられたのに。
男の恋人ができた彼。男を恋愛対象に入れた彼。
けれど、やっぱり自分の気持ちを伝えることなんてできなかった。
弱虫な俺は、こうやって涙を流すことしかできないんだ。
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