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離れるのなら、告白してしまえばよかったのだろうか。
恋人のいる彼に。絶対に振られると分かっていて。
俺にはそんな勇気はない。結局、俺は…。
あれからまた2週間。俺と理人の接点はなくなった。
俺も理人も互いに避けているから、俺たちは出会っても、目すらあわせずすれ違う。
まるで他人だ。人ごとのように思い、窓の外を眺めていた。
後ろから肩を叩かれ振り返れば、一緒に帰ろうと約束していた友人がいた。
「わりぃな。待たせた。」
「いいよ。早く帰ろう。」
担任に呼ばれていた敦を待っている間に、教室には俺だけになっていた。
敦と二人誰もいない教室を出る。
くだらない話をしながら下駄箱まで行けば、ちょうど理人と恋人が仲良く校門を出て行くのが見えた。
見たくなかった。理人と離れた原因でもある光景が、目に焼きつく。
でも、間近で見るよりマシだ。
弱い俺にはこれがきっとお似合いなんだ。
「朔?何してんだよ。」
「ん、行こう。」
敦に呼ばれて、急いで靴をはき替え、何でもないように装った。
待たせたくせに、先に行こうとする俺に敦は呆れたように文句を言いつつ、追ってくる。
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