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「なぁ、遊びにいかねぇ?」
「…いいよ。どこ行く?」
このまま帰っても一人だし、きっと俺はさっきの光景を思い出して泣くんだ。
だったら誰かと一緒にいたい。
敦を利用しているようで、悪い気もするけれど、誘ったのは敦だし、…いいか。
街に出れば人があふれ返っている。
その中で仲良く歩く恋人同士が目について、自分だけが取り残されているような、そんな感覚。
なんて、馬鹿か俺は。
もともと恋人になんてなれっこなかったじゃないか。
可能性なんて限りなく低かった。それを俺がゼロにした。
なのに被害者面な自分に吐き気がした。俺はどこまでも馬鹿だ。
そこらへんをブラブラしてファミレスに入り、談笑。
敦は変に気を使わなくていいから楽だ。
理人には、嫌われないようになんて考えてばっかだったから。
あぁいつまでも理人のことを考えてちゃダメだ。
俺は前に進みたいんだ。もう苦しいだけの恋は、嫌だ。
「朔ってさ、彼女つくんねーの?」
「彼女ねぇ。メンドクサイ。」
突然の敦の振りに驚きながらも返事をした。
面倒なのは本当。女はやりやすいけど、やりにくい。ずっと注意して見てないと怒る。厄介な生き物だ。
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