《失 業 サ ラ リ ‐ マ ン》

2/13
前へ
/27ページ
次へ
『富山くん おめでとう! 晴れて君は... 本日付けでクビだ』 ...薄々感付いてはいたんだ。 近頃押し寄せ 止まらない不況の波に比例するように、俺の取引も そう上手く行くもんじゃなかった。 以前はこんな俺だって、色んな取引先へのプレゼンテーションや販売は、当たり前のように任せられていた。 成績だって・・・それなりの数は叩き出したし、接待だって毎日のように回されていたはず・・・。 やはり、不況の波には勝てないのか? そして何故、俺なんだ? 向こうのディスクでケラケラとコーヒーすすってる、古株社員らの方が売り上げ率は低いだろうに!! でも現実世界は、思った以上に難しいもので・・・ 《有能》な奴より 《賢い》奴の方が ハイエナのように、荒れきった荒野の中で生き残るもの。 まだ30の俺は・・・この世界で経験豊富な40、50の古株に賢さでは勝てないようだったな・・・。 有無を言えないこの状況。 部長の突然の辞令に俺は 『はい。そうですか』しか 言えなかった・・・。 .
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

167人が本棚に入れています
本棚に追加