ある日の話。

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とんとん、とリズムよく鳴る包丁がまな板を叩く音。 昔に比べてたいぶ様になってきた料理たちをダイニングテーブルに運び、準備は完了。 あとは、彼の帰りを待つだけ。 「ままーまだたべちゃだめー?」 「だーめ、パパたちが帰って来るの待ってなきゃでしょ?」 「えー!ぱぱたちおそいー!」 「ぼくもおなかすいたー!」 そう言うのは今日、5歳を迎える我が双子たち。 もう5歳になるだなんて、早いなぁなんて考える自分はやっぱりあの頃より年をとったからなのかな。 なんて考えてる間にも双子はエプロンの裾を引っ張りながらお腹が空いた、と訴えている。 「先に食べてたらパパたち泣いちゃうよー?」 宥めながらもそろそろ帰ってきてもいい頃なのに、と時計に目をやる。 今日は早く帰って来れるって言ってたのに…残業でも入れられちゃったかな、 ちらっと時計に目をやると、すでに帰宅予定から1時間は経とうとしていて。 「…あ、こら!まだだめって言ったでしょ?」 どうやら待ちきれなかったらしい、うちの次男坊。 「ぶぅぅー!」 なんてほっぺた膨らまして潤んだ目で見つめてくる姿は愛らしいけど、だめなものはだめ。 しつけはきちんとしなくちゃね。
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