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――――――――ドサッ
――――パチパチ…………
拍手の方へ体を向ける。
「流石ね、音妃。数分でこれだけやれるなんて。」
拍手を送っていたのは美雷さんだ。……目がキラキラしていてどことなく愉しそうなのは気のせいだろうか。そして、私達は路地裏の来たほうへ足を進める。
「お褒めにあずかり光栄です。」
「ふふっ、あ、そういえば色々あって忘れていたけど、今日は音妃、帰る日じゃなかったかしら?可愛い妹さんが夜ご飯作ってくれるって言ってなかった?」
「あ……………………」
(…………忘れてた、璃音の事…)
「もう帰っていいわよ。」
「……え?でも、まだ交替の時間ではありません。」
「そうね。けど、車の迎えは来てるわよ。」
美雷さんが指差す方には一台の車がある。
「………ね?それに、この後のSPで車の運転している人は貴女の同僚の佐渡だし、安心でしょう?」
「…………まぁ……………、佐渡なら安心ですね。…………では、お言葉に甘えて失礼させてもらっても……「いいわよ。」……ありがとうごさいます。」
美雷さんは、先ほどとは違う、優しい嫌味のない笑みを浮かべている。
「あ!!でも、車まではちゃんと送っていってよね。」
と、次は笑みを少し冗談めかした様なものに替えた。
「…………はいっ!!」
そして、
私は今日の仕事を終わらせた。
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