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「どうして立ち上がるのよバカ!」
「知るかよ、そんなもの。ただ、目の前の奴が俺に喧嘩を吹っかけてきた。だから俺はそれを買っただけだ」
「え?」
「そして売られた喧嘩はかつだけだ」
「なに分けわかんないこと言ってんのよ!」
そんな二人に向かってギーシュは言う。
「ま、ルイズの持ち物を壊しちゃ悪いし、ここで謝れば許してやるよ」
「お前は馬鹿か? お前くらいに頭を下げていたら、俺は今まで何人に頭を下げてこなけりゃならないんだ。こんな人形風情にやられてられるか」
「そうかい……!」
どうやらその言葉で完全に頭に血が上ったらしい。
先程とは全く違う速度で巧に殴りかかってくる。
全く異世界ってのは何でもありなんだな、なんて考える。
ゴーレムの攻撃を涼しい顔をして回避していく巧。
こんな程度の動きは所詮そこらの雑魚にしか過ぎない。
流石に素手で、金属を殴るのはあまりに危険だ。
(いやまてよ……?)
どうして自分はこの人形を相手にしてるのだろうか。
そもそもこれは自分とギーシュの決闘である。何を相手の流儀に合わせて戦ってやる必要性がある。
彼がその事に気がつくと、すぐさま行動を起こした。
放たれてくる拳を軽々とかわし、そのまま無防備なギーシュへと一気に詰め寄る。
一瞬の出来事に呆気に取られたギーシュは巧の拳をその腹部に食らう。
「お返しだ」
短く手首をスナップさせてそういう巧。
よほど最初に一撃食らったのが気に食わなかったのだろう。
そのままわざと距離をとってやる。
追撃しないのはわざとだ。
「ふ、フフフ……平民の癖になかなかやるじゃないか」
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