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「というか、一体何が起きたんだ! 何も無い所から爆発が起きるなんて――」
「解る!」巧の言葉をさえぎってルイズは声を上げる。「あんたの言ってることが解るわ!」
「ああ?」
それに対して怪訝そうな表情をする巧。
今まで自分の言葉は理解できていなかったとでも言うのだろうか。
だとするのなら問い尋ねても鬱陶しがるだけで相手に伝わらないのも理解できる。
面倒くさそうに頭をかくと、溜息を一つ吐いた。
「で、ここは一体何処なんだ。そもそもお前は俺のご主人様とやらじゃないだろ」
その場に座り込みながら、巧は尋ねた。
ちらりと左腕も確認しながら。
「ここはハルケギニアにある、トリステイン魔法学校よ。あんたは私の使い魔として召還されたの。それより、あんたの名前をまだ聞いていなかったわね」
「人の名前を尋ねる前にまずは自分の名前を名乗ったらどうなんだ」
「……態度は気に食わないけど。まぁ、良いわ。私の名前は、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「本当に外人みたいな名前だな。の癖に日本語しゃべれるじゃなねぇか」
「さっさとあんたの名前を言いなさい!」
「俺の名前は乾巧だ」
「変な名前ね」
「無駄に長いお前にだけは言われたくねぇ」
鼻で笑いながらそういう巧。正直どうでも良いのだ、名前のことなんて。
「全く、どうして私の使い魔がこんな礼儀もなっていないただの平民なのかしら」
うんざりした風に彼女は肩を落とす。
全くもって心外だ。此方は好きで呼び出されたわけではない。むしろ迷惑しているのだ。
普通の人間ならこんなの性質の悪い宗教か何かだと思うはずだ。それ以前にこんなものは明晰夢の類だと思うに違いない。
一瞬だが巧もそれに順ずるものか何かだと思ったのだ。
だが肉体に至る痛みは現実のもの。それはこれが現実であるという覆しようのない事実。
それに、彼自身がまるで悪夢のような体験をしてきたのだ。
死者が化け物となってよみがえるなんて。どこぞのB級映画じゃあるまいし。
「俺が知るかよ。ったく……」
溜息を一つはくと、そのまま元いた場所で横になる。
「ちょっと、話はまだ終わってないわよ!」
「うるせぇな。もう寝かせろよ。色々あって疲れてんだよ」
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