1.田沼明子

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「…ハァ。」 田沼明子。30歳。 職業OL。彼氏いない歴30年。 30歳OLというところは 普通かもしれない。 でも彼氏いない歴30年は最悪だと思う。 いや、最悪だ。 小学生のころも、中学生のころも、高校生のときもモテるとか、告白されるとかは一回もなかった。 あ、一回あったか。 罰ゲームで私に告白するとかいうので告白されたっけ。 まぁ私はそれくらいのブス。 荒れた肌。 細い目。 潰れた鼻に、小さい唇。 恵まれたのはスタイルと髪の毛くらい。 お母さんは綺麗なのになんで私はこんなブスなんだろう。 「ハァ……。」 「明子またため息?」 「あ、花菜。」 この人は花菜。 同僚で高校のころからの友達。 そこまで仲良くはないけどこうやってちょいちょい話しかけてくれる。 花菜は私と正反対で美人。 「ため息ばっかついてると幸せ逃げるぞ。」 そうやって私を肘でつついてくる。 「ため息つかなくても幸せなんてこないわよ。」 「もうそう言わないでよ!ほらこれみて!」 花菜が勢いよく机に広告を出した。 その広告にはこう書いてあった。 【くろ屋敷】
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