第一章

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ある満月の夜の事。 白銀の髪を垂らす青年は寝息を立てて眠る姫を見つめていた。 焔樹『月妃、そなたは私の唯一愛する者……誰にも渡さぬ。』 そっと額に口づけをすると起こさないように姫の部屋を出た。 焔樹『今夜は胸騒ぎがする…何者かの気配がするが気のせいか…』 焔樹は空を見上げた。 胸騒ぎが止まない青年は屋敷の庭園に出る。 虫の音(ね)だけが辺りに響いていた。 刹那ーー…… 焔樹『この気配…!』 何かを感じ取ったのか、焔樹は走り出した。
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