天に立つ者

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その透明の箱に入っている人物の1人―― 適度に伸びた黒髪をボサボサにしたまま、緑のパーカーにボロボロのジーンズ姿。しかも、色白で裸足。 他の者達は老若男女、各自気に入ったスーツを着用している。 明らかに浮いた姿をした彼に、口を出した者がいた。 「海の王は相変わらずですな。少しは緊張感を持ったらどうだ?」 短い黒髪をオールバックにする中年男性は、凛々しく整った髭を撫でながら言った。 海の王はギョロリと浮き彫りになった目を向けた。 彼に威圧するつもりは毛頭ないが、前髪から覗く目は何も言わせない迫力があった。 色白に相まって、瞳の暗さが際立った。 「陸の王、格好は各々自由って聞いています。仮に、これが会議に影響を与えることになるならば私に考えがあります」 双眼は陸の王と呼ばれた者を逃がさないように捉えているし、彼もまた目を逸らせなくなっていた。
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