天に立つ者

6/13
前へ
/497ページ
次へ
宇の王は穏やかな顔つきをしており、とても柔和な人物に見えた。 そして、今は更に笑顔で、よりそれが強調された。 「いいえ、私だけではこれから起こるであろう事態に対処できないでしょう。陸海空宇の統括と天秤の王が結束し、初めて我々は悪から身を守れるのです」 口調や声も穏やかそのもので、神父のような雰囲気を醸し出していた。 「宇の王にそう言っていただけるとは、光栄の極みです」 陸の王は感極まって目頭に熱いものを感じながら言った。 そんな最中、部屋の唯一の出入口である銀の2枚扉の奥から一定のリズムを刻む、早足の音が聞こえた。 それは目の前まで迫ると、外観は重々しい扉が音もなく開いた。
/497ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加