第一話:夢から覚めて……

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「蛍樹、おはよ。朝から脱力感の湧くようなポーズだねぇ」 「………悠都か」プイッ 「朝一番にそれは酷いよっ!?」 空を見上げながらボーッとしてると、今来たばかりなのか、鞄を背負ったままの悠都が立っていた。 彼は小学校からの付き合いの渡瀬 悠都-ワタセ ユウト-。糞イケメンだ。 文武両道で容姿はモデル並。その上女子への振る舞いは紳士ときた、糞塵完璧超人野郎。 駄菓子菓子、本人はモテている自覚が無いと云う、無自覚のムカつく型の糞塵芥イケメン。 死に曝せと、何度呪ったことか……… 「結構付き合い長いのに、俺、そこまで嫌われてんの!?しかも自覚あるよ俺!!」 「五月蝿い。時間とか関係無く、俺はイケメンが大嫌いなんだよ。それに、自覚が無い奴に限ってある発言するんだ あと俺の考えてる事を言い当てるな」 「うぅ…本当にあるのに……(ていうか声に出てるし…)」 無い。こいつは全くと言っていい程その概念が無い。 現に、告白は月に最低三人は来るし、バレンタインのチョコレートは机や靴箱に溢れんばかりの量が置いてあるし、体育の時間には必ず女子からの黄色い声が飛び交う。 これで、こいつが言うのはモテてないだとぉ………? 何処か逝けよ。 「蛍樹、声に出てるから、あんまり言わないでよ(泣)」 「ヤだ。悠都がイケメンなのが悪い」 「完全俺の親だよね!?俺の両親のDNAが原因だよね!!?」 「黙れ犬。犬小屋に還れ」 「漢字違う上に俺犬じゃないからっ!!」 いやいや、こいつは犬だろ。イケメン犬だ。従順な下僕だよ。 あ、そいや…こいつにも夢の事、話しといた方が良いのかな?落とし穴の事。 ………………(只今考え中。 …………………………………………………………別に言わなくても良いか。問題ない。 悠都なら王道通りにしてくれるだろうと確信し、イケメンだから命の心配は無いと、蛍樹は考える。 何故イケメンだから命の心配は無いのかと云うと…… 大抵、王道小説の落とし穴系は、魔物に襲われている美少女を助けて家に呼ばれるのが定番だ。 で、その美少女に惚れられる。 その美少女は大抵は面食いなので、悠都なら簡単に落とせると、蛍樹は確信する。 問題は蛍樹だ。イケメンでも無ければ、他人に無関心な上、面倒くさがり屋だ。 あ、でも悠都は別だぞ?こいつは見てて特に面白いし、昔からの付き合いだからな。 だから、問題は俺なんだよ。 (自称)神に不死身になるお願いするの忘れてたし、ひょっとしたら出オチするかもしれないし。 .
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