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「蛍樹、おはよ。朝から脱力感の湧くようなポーズだねぇ」
「………悠都か」プイッ
「朝一番にそれは酷いよっ!?」
空を見上げながらボーッとしてると、今来たばかりなのか、鞄を背負ったままの悠都が立っていた。
彼は小学校からの付き合いの渡瀬 悠都-ワタセ ユウト-。糞イケメンだ。
文武両道で容姿はモデル並。その上女子への振る舞いは紳士ときた、糞塵完璧超人野郎。
駄菓子菓子、本人はモテている自覚が無いと云う、無自覚のムカつく型の糞塵芥イケメン。
死に曝せと、何度呪ったことか………
「結構付き合い長いのに、俺、そこまで嫌われてんの!?しかも自覚あるよ俺!!」
「五月蝿い。時間とか関係無く、俺はイケメンが大嫌いなんだよ。それに、自覚が無い奴に限ってある発言するんだ
あと俺の考えてる事を言い当てるな」
「うぅ…本当にあるのに……(ていうか声に出てるし…)」
無い。こいつは全くと言っていい程その概念が無い。
現に、告白は月に最低三人は来るし、バレンタインのチョコレートは机や靴箱に溢れんばかりの量が置いてあるし、体育の時間には必ず女子からの黄色い声が飛び交う。
これで、こいつが言うのはモテてないだとぉ………?
何処か逝けよ。
「蛍樹、声に出てるから、あんまり言わないでよ(泣)」
「ヤだ。悠都がイケメンなのが悪い」
「完全俺の親だよね!?俺の両親のDNAが原因だよね!!?」
「黙れ犬。犬小屋に還れ」
「漢字違う上に俺犬じゃないからっ!!」
いやいや、こいつは犬だろ。イケメン犬だ。従順な下僕だよ。
あ、そいや…こいつにも夢の事、話しといた方が良いのかな?落とし穴の事。
………………(只今考え中。
…………………………………………………………別に言わなくても良いか。問題ない。
悠都なら王道通りにしてくれるだろうと確信し、イケメンだから命の心配は無いと、蛍樹は考える。
何故イケメンだから命の心配は無いのかと云うと……
大抵、王道小説の落とし穴系は、魔物に襲われている美少女を助けて家に呼ばれるのが定番だ。
で、その美少女に惚れられる。
その美少女は大抵は面食いなので、悠都なら簡単に落とせると、蛍樹は確信する。
問題は蛍樹だ。イケメンでも無ければ、他人に無関心な上、面倒くさがり屋だ。
あ、でも悠都は別だぞ?こいつは見てて特に面白いし、昔からの付き合いだからな。
だから、問題は俺なんだよ。
(自称)神に不死身になるお願いするの忘れてたし、ひょっとしたら出オチするかもしれないし。
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