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それに、穴に落ちた時にまた会うかどうかも分からないから、能力の追加も出来ないかもしれない。
飴チャンも欲しいなぁ…今度は葡萄味も食べてみたいし……
「蛍樹?聞いてる?俺の話」
「んぁ?何か言った?」
蛍樹が読者様方に話し掛けていて、悠都の話していた事を聞き逃したせいか……
『あいつ何様な訳!?』
『悠都君、何か可哀想~』
『ていうかあいつさ~、平凡の癖に近付き過ぎ~!!』
『だよね~!!キモ~い!!(笑)』
ハァ……またか。何でウチの学校の女子達はこうも陰険と云うか何と云うか………
蛍樹は数人になってグループで話している女子達に視線をチラッと向ける。
糞塵芥イケメンの悠都の近くにいると云う事は、つまり悠都ファンの奴等に目を付けられると云う事。
勿論、蛍樹が悠都に負けず劣らずのイケメンなら誹謗中傷の嵐は無いのだろうが、残念ながら平々凡々。
蛍樹が女子なら完璧ハブられているだろう。
「んで、話って何だよ。どうでも良い事だったらブン殴る」
「違うからっ!!多分違うと思う………俺さ、生徒会に入る事にしたんだ」
「?あぁ。で、何で態々それを俺に言うんだ?嫌がらせか?殺るぞ?」
「違うよっ!!蛍樹前に言ったじゃん!!俺が生徒会に入るなら蛍樹も入るって!!」
「……………………………は?」
悠都が生徒会に入るなら俺も入るって?
いつの話だ?抑、俺、そんなふざけた事口にしたっけか?
……………何かの間違いだろ。
「あー……何かの間違いじゃねぇの?俺、そんな事言った記憶無ぇし」
「言ったよ?この前一緒に歩いてる時に、俺が勧誘に合ってたら、蛍樹が、
『悠都が入るなら俺も入るぞ』
って、生徒会の人達を脅してた時。しっかり録音もしてあるからね」
悠都はそう言うと、ブレザーのポケットから携帯を取り出し、俺の声が録音されているフォルダを開くと、再生しやがった。
ハァ……あん時か。確かに言ったなぁ。生徒会の奴等が五月蝿いから…………
蛍樹は半ば諦めモードに入ると、机に項垂れていた上半身を起こし、悠都の方に向けた。
「分かったよ。俺も生徒会に入る。で、いつ来いって?」
「今日の放課後、生徒会室に。俺達は補助だから、他の人達のサポートだってさ」
「ん。担任来たからお前も席着け」
教室の前の方の扉から無精髭を生やした担任がノッソノッソと熊の如く歩いてきた。
悠都は担任を目視すると、前方にある自分の席へ行き、蛍樹はまた机に突っ伏した。
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