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窓の外で悠々と浮いている雲をボーッと眺めながら、担任からの連絡事項を聞いて覚えて聞き流す。
視界全体の空が雲に覆われていて、午後からは雨でも降りだしそうだ。
蛍樹は教室の隅っこにある傘立てに、自分の傘が有るか確かめると、見事に其所には女子達のフリフリな傘しか置いておらず、ガーンと言うようにまた机に突っ伏した。
「うし。今朝のSHLしゅーりょー。次移動だからサッサと行けよー」
担任はそれだけ言うと、気だるそうに出席簿を抱えて教室を出ていった。
それと同時に悠都の周りに群がる女子共。
隙間から見えた悠都の顔は爽やかイケメン☆を思わせる表情だが、蛍樹はその顔が『迷惑極まりない』と、長年の勘で分かっていた。
あいつ、相当キレてんなぁ………いい気味だ(笑)悠都が此方に来る前にサッサと行くか。
机から教科書ノート類を出して、蛍樹は悠都に捕まらないうちに教室を出る。
蛍樹が教室を出る際、悠都が蛍樹の方を見て、女子共を追い払いながら近付いて来ていた事を、蛍樹は知らずにいた。
悠都は階段を上っている途中の蛍樹に追い付き、話し掛ける。
「助けてくれてもいいじゃんか~。幼馴染みの好として」
「ヤだ。誰が好き好んであんな群れの中に突っ込むんだよ。そんなんしたら、逆にお前にヘルプ出すわ」
いや冗談じゃなくマジで。周りに群がってる女子達からの熱い視線で俺溶けちゃう☆
チョーシ乗りましたさーせん。
周りの女子達からの殺気紛いの視線が、俺には耐えられません。
そんな、男でありながらも、蛍樹は毎日クラスの女子達から逃げまくり&避けまくりな一日を、今日も過ごした。
―――――――
―――――
―――
―
放課後、蛍樹と悠都は校舎の最上階にある生徒会室へ向かっている最中だった。
悠都の若干左斜め後ろを歩く蛍樹は、女子達からの快くない視線と男子達からの好奇の視線に晒されていた。
小さい時からのせいか、蛍樹はいろんな視線やら何やらを総無視し、今は耳にスポッと入れる小型イヤホンを付けては、周りの声さえも無視。
「――――――――――」
隣で話してる悠都の姿を見受けられるが、蛍樹は全てを無視無視無視。
周りを一切寄せ付けず、存在自体を拒絶するかの様に………
すると、やっと生徒会室に着いたのか、右斜め前を歩いていた悠都が止まったのを視認すると、蛍樹はすかさずイヤホンを外した。
しかし、悠都に外す瞬間を見られていた様で――…
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