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キャラ絵と台本を大人しく渡すと兄さんは食い入るように見つめる。
「やってみてよ。」
さっきまで見せていた笑顔が嘘みたいに消え失せた兄さんは、低い声で呟いた。
鬼演出家である兄さんのスイッチをいれてしまったらしい…
私は、半ば開き直り自分の演技を見せた。
たった数秒の間が、演技に置いては命になる。
「いいんじゃない。」
世辞ではない本当の兄さんからの言葉に気づいたら涙が溢れるていた。
「その涙は、受かった時にとっておきな。」
そっと指先で涙を拭い、兄さんは私を抱き締めてくれた。
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