■確率の神様

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ここは神様の住む町。 小さな国の中にある小さな町です。 そこにシャルは住んでいました。 彼女ももちろん神様でした。 その中で彼女は“確率”を操ることのできる神様でした。 ある日。 彼女は今日も退屈凌ぎに、町の人気の少ない場所にある噴水を覗いています。 昔人間好きの神様が、人間の世界を覗くために作ったといわれている噴水です。 その神様は何の神様だったのかは分かりませんが、この国の規律を破ってしまい、今はこの町にはいません。 恐らく人間と仲良くなってしまったのでしょう。 死ぬ運命にあった彼らの命を助けてしまったのです。 それは“神様”にとって禁忌でした。 人間と直接関わってはいけない。 “神様”とはそういうもの。 シャル自身もそれは理解していました。 彼女は人間が特別好きという訳ではありません。 …ただこの神様の国は退屈すぎるから。 この噴水から人間の世界を眺め、毎日自分の力を使って彼らの事を弄んでいたのです。
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