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行きとは別ルートで玄関を目指す
「おっと…」
婦人は起きてしまったらしい
まぁ鏡をかち割り、ドアを蹴破り、壁をぶち抜けば大概の人間は飛び起きるにきまっている
婦人は玄関で兵士と話していたがこちらに気づいたようだ
「これはこれは御婦人。この子を頂きます」
突然現れた青年の言葉が場を凍らせた
「ん?アイツは指名手配の……」
兵士も気付いたらしく警戒を厳にした
「おっと、そんなに構えないでくれ?殺り合う気は無いんだ」
「解らないのか?お前は存在が罪なのだ」
兵士はサーベルを抜き放つ
「呆れた奴だ…。この子を渡せば暫くは大人しくしてやろうと言っているんだぞ?」
「ふざけるな、国民を守る。それが我らの使命だ」
「ふぅん。仕事熱心だな?良いことだ…」
青年の眼が鈍く煌めく
「……だが急いでいるんだ。すまないな」
青年の鋭い爪が兵士の首を切る
溢れる朱が青年と抱えられる少女を彩った
少女は目を見開き、堕ちた
「刺激が強すぎたかな?まあいい。」
兵士の横を通り、絶句する婦人に挨拶をし、家を出た
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