青年

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青年は屋根の上を飛び回り、寝巣に帰るついでに獲物を探していた 「最近この町には美味そうな奴減ったなー」 屋根から窓を覗いては次の屋根に飛びうつるのを繰り返す 諦めて適当な窓を突き破り家に侵入した そこには三十路ほどの婦人が眠っていた 青年はゆっくりと近づき首筋に口を着けようとした刹那 動きを止めた 誰か他にいる……? 青年は警戒を強める体勢を取った 微かな物音を頼りに相手の位置を探る 行き着いたところは鏡 大きな全身うつる壁に嵌め込んであるもの 「ここか…」 確かに物音は鏡の奥から感じられた
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