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「晴香、おはよう。それと遅れてごめんなさい」
「私もちょっと遅刻気味だったから平気だよ」
「そう?」
「うん」
晴香は今、テンションが高い。
だから遅刻して来た隆人を怒ろうとも思わない。
昨日作ったチョコレートは思ったより力作で、早く隆人に渡したくてウズウズしている。
「ねぇ、晴ちゃん」
「何?」
「今日は何の日でしょうか」
「何の日って、バレンタインでしょ?」
隆人はきっと自分が渡すまでもなくファンの子にもらうだろう。
ヤキモキを焼くほどのことでもないし、ファンの子の気持ちを大切にした方が良いと晴香は思っている。
「そう。バレンタインデーですよ」
「……だから?」
チョコレートが欲しいんだろうと思ったけれど、何だかその子犬のような雰囲気にいじわるがしたくなってしまった。
「だから、あの……」
「ふふっ、チョコレートいるの?」
「いる」
「もういっぱい貰ったんじゃないの?」
「義理と本命は違うだろ」
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