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「もう、結局ノロケ?やめてよね」
明日はバレンタインデー。
ちょっとだけ浮かれているのは、気のせいではないはずだ。
「ノロケてなどいません。では私は控えておりますので」
そして、いまだに慣れないのは彼氏がいる前でその彼氏を空気だと思い那弓ちゃんと話すこと。
もちろん恋ばなで本音も言えないし、然に聞かれたくない話もある。
が、彼は那弓ちゃんの執事で後ろにいるのが当たり前なのだ。
「あ、でね。昨日電話で言った話なんだけど……」
「あ、うん。あのブランドがこっちにもできるんだよね?」
那弓ちゃんは小さな頃からこれが当たり前だから気にならないらしいけど。
私はどうしてもチラチラと然を見てしまう。
「もう、真田が好きなのは良く分かってるから私に集中してよ」
「何回も言うけど集中できないよ。一応あの人、私の彼氏だよ?」
「分かった。真田出て行って?美波ちゃんがいるときは部屋の外で待機ってことで」
「かしこまりました」
然は気にしていないのか、私たちに一礼してから出て行った。
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