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その日は夕食までご馳走になり、那弓ちゃんの家を出たのは21時を過ぎたころ。
玄関まで見送ってくれたのは然だった。
「じゃ、先に帰ってるね」
「あぁ。あ、洗濯物入れといて。ベランダに出してるから」
「分かった。ご飯は?」
「軽く作っといて」
「了解。じゃ、また後で」
「ああ、気をつけてな」
「目の前だから大丈夫だよ」
私は然に手を振って扉を閉める。
広い庭を抜け、道に出ると目の前にあるアパートが然の家。
この距離で心配されるなんて、愛されているな、なんて嬉しくなる。
「あれ?みっちゃんじゃん」
目の前を通り過ぎ、隣りの豪邸の前で止まったタクシーから出て来たのは政裕くんだった。
「あ、今帰り?」
「うん。また真田ん所泊まりに来たの?」
「うん。那弓ちゃんのとこに遊びに行ったついでにね」
「またまた。こっちがメインでしょ?明日はバレンタインデーだし」
「あはは、まぁね」
政裕くんと少し話してから私は然の家に入る。
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