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買ったばかりの靴がまだ足に馴染んでおらずかかとが痛くて、レジの順番を待つ間、ずっとかかとだけ脱いだり履いたりしていた。
藤原秀明、28歳。
南陽新聞社勤務。
仕事の内容は原稿の誤字脱字を訂正したり、書いてある内容が間違いないか調べたりする校正士。
力があまり強くなく運動も苦手な秀明はデスクワークにしか興味を持たなかったが、目は疲れる肩は凝る頭は使うで、毎日クタクタになって帰っていた。
本当は少しでも早く帰って休みたいが、今日は火曜日。
アパートから最寄りのコンビニに勤める髪の長い綺麗な女の子に秀明は恋をしている。
(火曜日は間違いないか…昨日もいたから、週の前半は会える確率が高い。)
先週の調査の結果をもとに何曜日が会える確率が高いか計算しながら、ガムを選ぶふりをして一度列から離れる。
「2番目にお待ちのお客様どうぞー」
…これでよし。
秀明はこのコンビニの他のスタッフがとても気がきくことも調査済みだった。
3人並んでいれば陳列や掃除をしていたスタッフが隣のレジを開けに来る。絶対。
秀明の前に並んでいた大学生風な青年も秀明と同じ目的でこのコンビニに寄っているようで、しばらくもじもじしたあと、仕方なさそうに隣のレジへ移動した。
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