プロローグ

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 膨らみかけの胸を必死に寄せる真白だった。  大胆も何もその年で異性と何の恥じらいもなく風呂に入れるのは、精神的にガキな証だろうに。 「ヤバい。凄いことを思いついたかも」 「※ろくでもないことの意」 「変な注釈つけないでよっ!」  人様の首に白磁のような腕を巻き付けて、真白は妖艶な表情を意図的に作る。 「――妊娠すれば生理がなくならね?」 「その発想はなかったなぁ」 「ゆきりんが孕ませればよくね?」 「……俺の人生が色々と終わりそうだ」 「うーん、でも真白の魔術は処女だからっていうのもあるしなぁ。処女懐胎する必要があるのかも。ごめんね、ゆきりんの期待には応えられないや」 「ん? 酷い勘違いをしてないかな?」  それにしても処女だの生理だの、この女に羞恥心というものはないのだろうか、と眉根を寄せながらも密かにほくそ笑む俺は、いかにも悪役っぽくて素晴らしい。  しかしこの状況なら誰だって表情が緩む。  いや、女子中学生のヌードを拝んでいるから、というのとは関係なしに。  何故ならば御門真白という神秘の全容は未だに解明されていないのである。  そりゃあ己の魔術のカラクリがばれたら魔術師的には死活問題で、だからこそ人前で魔術を披露する馬鹿は滅多にいない。  しかし目の前の最強、最高、最悪の魔術師はそんなことお構いなしなのである。露出狂だと言ってもいいくらいに自分の魔術を見せびらかす。  それなのに誰も、それこそ名立たる魔術師が束になって解析したってわからないことだらけなのだ。  そんな中で唯一判明したのは、世界中の魔術師及び軍隊や兵器を用いたところで、御門真白には勝てないという絶望的なモノだった。 「メンドクサイなー」  俺の胸に頬を摺り寄せながら真白は言う。 「何が?」 「世界がだよ! 世界に決まってるじゃん」 「デッケェ!」  いちいちスケールがデケェ。ともすれば中学生的とも言えるが。
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