第4章

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一緒に電車に乗り込み、当たり障りのない会話を続ける。 …………私、何やってんだろ…。 意気地のない自分に腹が立つ。 このままでは何も変わらない。 悶々とした私を尻目に、電車は彼のバイト先の駅に、到着した。 扉が開き、冷たい空気が粉雪と共に車内へ吹き込む。 寒そうに体を縮めながら、次々と乗客が降り始める。 彼もホームへ降りると、こちらを振り返り、じゃあ、と手を振った。 私も、じゃあ、と手を振る。 ………………っ!! 音を立て、扉が閉まろうとした瞬間、私は電車から飛び降りた。 「…っ?!……里佳さん?」 彼の腕をぎゅっと掴む。 電車から飛び降りた私に、いきなり腕を掴まれ、戸惑った彼の声が聞こえる。 私は恥ずかしさで顔を上げられないまま、彼に伝える。 「………私、鉄平さんが好きですっ!」 ………気合い、入りすぎた……。 声が大き過ぎて、改札に向かう人々が、こちらに好奇の目を向けているのが、俯いていてもわかった。 女子高生らしきグループの甲高い笑い声も聞こえる。 .
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