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大体、どうして私に声を掛けてきたのだろう。
向こうだって本当なら、見てみぬ振りを決め込みたかったはず…。
だって……。
10年前とはいえ、自分が降った相手にわざわざ声を掛ける男なんかいないだろう。
…そもそも、気付いたとしてもだ、映画始まる直前に声なんか掛けるかぁ?
せめて終わってからにしようよ……
ま、そういうとこ、全然変わってないけど。
映画は、恋愛ものの邦画。
彼が絶対興味なさそうな内容なのに、平日の朝っぱらから何してんのよ。
横目で、ちらっと様子を伺うも、向こうは寛いだ様子で映画に見入っている。
はぁぁぁ…
思わぬ誤算だ。
私の貴重な休日なのに…と、思わず溜め息をつく。
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