第1章

4/7
179人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
大体、どうして私に声を掛けてきたのだろう。 向こうだって本当なら、見てみぬ振りを決め込みたかったはず…。 だって……。 10年前とはいえ、自分が降った相手にわざわざ声を掛ける男なんかいないだろう。 …そもそも、気付いたとしてもだ、映画始まる直前に声なんか掛けるかぁ? せめて終わってからにしようよ…… ま、そういうとこ、全然変わってないけど。 映画は、恋愛ものの邦画。 彼が絶対興味なさそうな内容なのに、平日の朝っぱらから何してんのよ。 横目で、ちらっと様子を伺うも、向こうは寛いだ様子で映画に見入っている。 はぁぁぁ… 思わぬ誤算だ。 私の貴重な休日なのに…と、思わず溜め息をつく。 .
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!