第1章

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すると、何だか気配を感じて振り向くと、彼が怪訝な表情でこちらを見ている。 どうやら溜め息があまりにも大きかったようだ。 …何やってんのよ、私。 恥ずかしさのあまりに慌てて目を逸らす。 しばらくしてから様子を伺うと、彼はまた映画に集中しだしたようだった。 徐々に内容がクライマックスに近付くにつれ、私も彼の存在を忘れのめり込んで行く。 学生時代を思い出すような青い世界。 スクリーンの中の彼らは、エネルギーを持て余し、やるせない気持ちをぶつける先を探している。 私にとっては懐かしいような……まだその真っ只中にいる彼らが羨ましいような…複雑な気分。 あの頃に戻りたいとは思わないが、あの頃のような躍動感はもう手には入らないことは寂しい。 気持ちの有り様は、年齢に忠実だ。 .
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