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エンドロールが流れ、気の早い客が帰り始めると、彼は腰を屈めて、こちらに近付いてきた。
「時間あるなら、どこか飯でも行きませんか?」
私は戸惑いながらも、うん、と返事をした。
荷物をまとめて、半歩彼の後を歩いていると、映画館を出た辺りで、彼がこちらを振り向いた。
「あの……すみません。ひょっとして迷惑でした?」
そう言って、困ったような表情でこちらを見ている。
「ううん、大丈夫だよ。私もお昼食べて帰るつもりだったし。」
そういうと、彼は安堵の溜め息をもらす。
「良かった。……あの時からまともに話してないから、こんな風に声掛けちゃまずかったかなって………。あの時のこと、怒ってるんじゃないかと思って。」
……あの時?
………あぁ…。
私があなたに振られた時ね……。
いや、わざと避けるつもりもないけど、普通は距離置くでしょ。
それに、大学卒業したら、知らない間に地元に戻ってたじゃない。
話す機会がなくなっちゃっただけだよ。
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