18人が本棚に入れています
本棚に追加
「麒麟は反対だ。その冷静さは嫌われるぞ。まぁ、お前の家は血統書着きだからな」
「なんだ、それ」
麒麟が呆れたように僕を見上げる。
枯れ葉を踏み、逃げるようにして神社へ走る。
「おーい!早く来いよー!」
いくら冬に向かって季節が動いているとはいえ、長く歩いた後にダッシュもすれば背中にうっすらと汗が滲む。
掌に滲んだ汗を、麒麟に手を振ることで冷やすと気持ちがいい。
神社の鳥居脇に立てられた、掲示板に目を通す。
数年に貼られたのではないかと思うほどに黄ばんだ紙は、手芸サークルのメンバー募集を告げている。
崩壊に向かって突き進んでいるこの村にも、今もこのサークルはあるのか。
「ウナギ。お前は少し年齢に見合った落ち着きを収得しろよ」
「麒麟は、物事をもっと簡単に話せるようになれ」
最初のコメントを投稿しよう!