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「いちいち見てくるんじゃねぇよ!」 その叫び声に、ウナギが先に駆け出した。 今の声は確かに蜂屋のもので、昨日の夜、この場所で聞いたのに間違いない。 ただ、あの時はもっとゆったりとした甘えるような調子で、さらに低かった。 それと正反対なだけに、なにかしら起こったのだろう。 ウナギに支えられたのは正解だった。 いやに頭の心がぼーっとして、足元はおぼつかない。 「お前、意気地もないくせに、しつこいんだよ!」 待合室よりの診療室を覗くと、蜂屋がベッドのカーテンに手をかけていた。
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