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「悪い。ちょっと喉をやられた」
結局、ほんの数メートルであるのに肩をかしてもらう。
「なぁ、ショックだっただろ」
そう海老澤に問われたのは、ソファに転がった瞬間だった。
あの男は相変わらずそこに転がっていたが、漫画本を顔に載せて眠っているようだ。
床にいた狐鷹の姿はない。
海老澤が言ったのは、蜂屋の恋愛話のことなのか。
「別に。そういうの、あまり興味ないし」
目を閉じて、かろうじてそう言う。
半開きに開いた唇はカサカサだ。
僕の手からグラスを取り窓辺に置くと、海老澤が耳元で笑う。
「強がっちゃって。ま、ゆったり休んでいろよ」
それを最後に、僕の意識は遠退いた。
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