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「養殖、養殖。鬼は養殖」
校庭に集まる子供達の輪の中で、合唱が起こる。
「養殖じゃないよ。違うもん」
青、赤、みどり。
様々な色の服を着た少年達が、手を叩いてその輪の中心にいる男の子を囃し立てる。
そうなったのは、その日の授業が問題だった。
「だって、お前の名字は鰻原っていうんだろ。鰻は養殖されて育つんだぞ」
一番恰幅のいい体型の男子が、小さな少年を指さした。
周りから、そうだ。そうだ、という声が上がる。
「俺、知ってるぞ。お前の家に父ちゃんも、母ちゃんもいないこと。こいつ、ばあちゃんにご飯貰ってるんだぞ」
おかしくもないのに、腹が転げるほどに笑う仲間達。
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