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麒麟が僕の倍は高い、少女のような声で言う。
「ねぇ、お父さんに言って、先生に注意してもらおうか」
時々、麒麟はこうして役場で働く父親に頼ろうとすることがあり、僕の神経を逆なでする。
「いいよ」
僕には、そんな頼るべき存在がない。
それを見せびらかせられているようで腹が立つ。
ただでさえ、この図鑑も、おにゅうのズボンも、僕には手に入らないものばかりだ。
「お腹空いた。もう帰ろうぜ」
麒麟は僕よりも背も小さく、足も遅い。
少し早く歩けば小走りで付いてくる。
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