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わざと麒麟が困るように足を速め、空き地を駆けだした。
「待ってよぉ」
慌てて追いかけてくる麒麟がおかしくて、僕はさらにスピードを速めた。
いつもは、こうして意地悪をしても、麒麟は必ず付いてくる。
そして、家の近くの四つ角で待っていると、息を切らせて駆け寄ってくるのだ。
もしクラスが麒麟と同じなら、鬼ごっこでも困ることはないのに、とほくそ笑む。
今日もいつものように四つ角で待っていても、麒麟は現れない。
どうしたのかと十数分待って、不安になる。
通りをいくつか戻ってみても、その姿はなかった。
「麒麟……?」
結局空き地まで駆け足で戻る嵌めになったが、それでも麒麟の姿を見つけることは出来なかった。
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