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冷たい石の階段の一番下に腰掛ける麒麟を通り越し、僕はその三段上に腰を下ろした。 背中に背負ったリュックに手を伸ばし、目を遣ることなく脇のジッパーを開いて棒状にパッケージされたキャンディーを取り出す。 包みをこじ開けて二粒手に載せ、片方を麒麟の脳天に放った。 「あぁ」 礼とも言えないその返事だったが、麒麟は常に感情を表すことがないので気にならない。 運動をするのに邪魔だからと短く切りそろえた僕とは違い、麒麟はガキの頃から肩まで届きそうな長さだった。 それが風に揺れて、白い頬を隠す。 生まれつきの栗色の髪と、切れ長の眼。 そして白い肌はまるで女の子のようであり、この都会とはかけ離れた地元では珍獣といわれてもおかしくないほどの美少年だった。
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