柴崎朱鳥

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ガラッ 教室のドアを開けた瞬間、私に突き刺さる視線。 軽蔑、嫌味、妬み、恨み、同情、哀れみ、様々な視線が毎日のように降り注ぐ。 別にどうでもいい。何故なら興味が無いから。 その視線は私が席に座って何かを始めるか、教室から消えるか、あるいは私が睨み返す、そのどれかが起こって初めてその牙を引っ込める。 その様は馬鹿馬鹿しいとしか言い様がない。 「お、おはよう…。柴崎さん…」 別に頼んでも無いのに、毎日恭しく挨拶してくるのは、クラスの委員長という名の偽善者、千川彩乃。 別にこの人が嫌いな訳じゃない。唯、「皆仲良く、皆、皆、お友達」みたいなことをほざくからだ。 「おはよう」 と、機械的に挨拶を返す。ここで挨拶をしなかったら、面倒だし、デメリットにしかならないからだ。 「あ、あのね…。数学教えて欲しいんだけど…」 そういって、問題が印刷されたプリントを差し出してくる。 等差数列の一般項か…。 「初項が3で公差が4だから、公式に当てはめて計算したら、一般項は4n-1」 と、適当に説明しておく。理由はさっきと同じだ。 「あ、ありがとう…。柴崎さん、やっぱり凄いね…」 と、見え見えなお世辞を言う。 私はこいつのこういう所が嫌いだ。 「別に」 いつもかなり感じ悪く思うように言っているが、こいつはしつこい…。 まぁ、どうでもいいがな。 精々、勝手に頑張ればいいさ。 まぁ、お前がいくら頑張っても私からお前に 「おはよう」 なんて言うことはないがな。 私は柴崎朱鳥。高2。身長168センチ。体重55キロ。上から120、58、90。成績はよくわからないが、人が言うには上らしい。特にこれといって特技と呼べるものはない。どこにでもいる普通の高校生だ。 友達はこれでもちゃんといる。だから別に友達がいないわけじゃない。 ただ、クラスが違うまたは不登校なだけで。
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