柴崎朱鳥

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まぁ…このクラスではぼっちというのは強ち間違ってはいないか…。 かといって別に気にならないがな。 「しーばーさーきさんっ!」 と、あの特有の甘ったれた声がした。 その丸顔に全く似合っていないクルクルパーマ、目があるのか無いのかはっきりしない点のような目、低い鼻、ニキビだらけの頬の、藤城実。 普通に見ればブス以外の何者でもないのだが、クラスのやつらはコイツのことを1日一回は必ず「可愛い」という。 理由は簡単だ。 こいつが理事長の娘だからだ。しかも、この学校は県内では有名私立校だから有名な大学からの推薦枠が多い。 理事長の娘と好き嫌いはさておき、そいつに気に入られておけば推薦枠がとりやすい。 だから、こいつには取り巻きが多い。 世間でもよくある話だ。 まぁ、「自分には友達が沢山いる」と信じ込んでいるこいつは、どれ程裏で叩かれ、そいつらに利用されてるか、なんて気づくことは一生無いだろう。 その点から見れば、ある意味幸せなやつだ。 「見てみて!この髪型かわいいでしょー!パリに行って切ってもらったんだっ!どうかな…?」 お前、ここが日本でよかったな。 アメリカとかなら即刻、 「It doesn't suit you!」だぞ…。 「いいんじゃねえの?」 と、これもまた機械的に返事をしておく。あ、やべ。スペル間違えた。 「本当!?嬉しい!柴崎さんに誉めてもらいたかったの!」 こいつは嬉しいとピョンピョン飛ぶらしい。それから、スキップしながら取り巻きの所に行って 「柴崎さんが誉めてくれたのっ!」 とキャーキャー言っている。 くだらねぇ…。 図書館にでも行くか…。あそこもうるさいが、ここほどじゃない。 そして、図書館に行くために教室を出た。
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