柴崎朱鳥

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それから数日後、私の親権を巡って親族会議が開かれた。 だが、親族達の誰もが嫌な顔をして、誰も私を引き取るとは決して言わなかった。 それも当然だ。私が逆の立場でもそうする。 堂々巡りな会議の結果、私の親権は実の父親の柴崎進に渡ることになった。 父親自ら名乗り出たらしい。 その日の晩、父親から電話がかかってきた。11年ぶりの会話だった。 「久しぶりだな、朱鳥」 「ああ、そうだな」 「大きくなったな、いや強くなったという方が正しいか」 「何故だ」 「何がだ?」 「何故、私を引き取るだの馬鹿を言った?貴様には妻子がいるだろう?」 「私の愛娘なのだから引き取るのは当然だろう?」 「11年間連絡の一つも寄越さなかったくせにか?」 「はははっ!」 「何が可笑しい」 「流石だ。聞いた通りいい度胸をしている。それにしても、綺麗になったな、朱鳥。この間見たが、若い頃の智恵美にそっくり、いやそれ以上か。」 「どういう意味だ。何故貴様が私の姿を見たんだ。貴様はドイツにいるはずだろ」 「ああ、そうだ」 「なら何故」 「それは会ってからのお楽しみだ。一週間後に迎えをやるからそれまでに準備しておけよ」 そういって電話は一方的に切れた。 何故だ…? 母さんに限って写真を送ったということは無いはずだ…。 一体どうやって…
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