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一週間後、迎えらしき車が来た。
全員、黒いスーツにサングラスだった。その中でも、何となく威厳がある白髪の紳士がサングラスを取って私の所に来た。
「始めまして、朱鳥様。私、秘書の二階堂雪羅と申します。以後お見知りおきを」
「はい、よろしくお願いします」
「お荷物は部下に運ばせますので、飛鳥さまはこちらにお召し替えを」
そういって渡されたのは、上下真っ黒のパンツスーツと白いYシャツ。そして、革靴と銀のCHANELの時計がはいった紙袋だった。
「これは何ですか?」
「旦那様からの飛鳥さまへの贈り物にございます。そして、お召し替えが済み次第、出発いたします」
ああ、成る程ね。今の私の格好は貴様の前に出るに値しない格好だということか…。
ご丁寧に時計にGPSまで仕込むとは…。
やってくれるじゃねぇか…。
「わかりました。直ぐに着替えてきます」
そういって私は自分の部屋に行って、渡された服に着替えた。
着替えて鏡を見てみた。
自分で言うのもあれだが、昔の母さんによく似ていた。
だから、母さんに向き合っている感じがした。
「母さん、見て?母さんによくにてるだろう?まぁ、母さんのほうが綺麗だろうけど…。
私は今から、アイツのところへ行くよ。大丈夫。心配しないで。父さん、私は父さん以外のやつを父と呼ぶことになるけど、父さんが私の本当の父さんだからね。謙司、瑠璃、元気?私は元気だよ。二人とも喧嘩したらダメだからね?いい子にして、パパとママを大切にするんだよ?」
言ってる途中で涙が出てきた。でも、泣いていいのは今日で最後だから。私が斎藤飛鳥でいられるのも今、この瞬間だけだから。
父さんと母さんの娘として、謙司と瑠璃の姉として、最後くらいは笑顔でこういいたい。
「皆、行ってきます!」
そういって私は、決して後ろを振り返らずに部屋を出た。
後ろで、
「行ってらっしゃい!」
という皆の声がした気がした。
ありがとう…皆。
涙が一筋流れた。
目を開けた。そして決めた
私は今からから絶対に泣かない、負けない。
そして、
絶対に生きて、生きて、生き抜く。
それが皆への弔いになるはずだから。
そして、
私は柴崎朱鳥になった
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