ここにいて

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「んっ、・・・ふっ、・・・んぅ」 最初はそっと押し付けられた。 甘い香りが鼻をくすぐり、頭がぼうっとしてくる。 下唇、上唇の順に甘噛みされて、息をしようと唇を割った瞬間したをさしこまれる。 「んんっ、・・・・んっ」 上顎、歯茎、歯列をなぞられて、背筋が震えた。舌の動きがひどく妖艶で、体に力が入らなくなるのが分かる。 何分くらい、口内を犯されていたんだろう。 私が自分から求めるように頭を上げていたときには、唇の周りはどちらのか分からない唾液で濡れていた。 「んぁ、・・・ゆかりぃ」 「・・・少しやりすぎたわね」 紫の舌が私の唇の周りの唾液を舐めとっていく。時々頬に落とされるキスに身をよじりながら、受け止めた。 そして、私が正気を取り戻したとき、ひとまず紫は殴っておいた。 「痛い、霊夢」 「うっさい、反省しろ」 「とか言いながらまだ膝枕させてる霊夢も可愛いわねっ」 「っ、これはお仕置きなんだから、言うこと聞くの!」 「はいはい、ホントに昔のほうが素直で可愛かったわね?」 「へらない口ね。てか、あんた昔私のファーストキス奪いやがったわよね?」 「そうだっけ?・・・・・・そういえば、そんな気が・・・」 「あんた、その時の私が何歳だと思ってるの?このロリコン」 紫はキョトンとしていた。 その表情になぜか私が分からなくなる。 「私はその時からあなたの事が好きなの。知らなかったの?」 「は?」 「そりゃ、キスくらいするわよ。私のものにしたかったんだもの」 「・・・えっと、」 「今でも愛してるわ、霊夢」 「あのっ・・・」 「昔の素直な貴女も大好き。今のツンツンな霊夢も愛してるわ。私の思いは本物よ?」 「わかった、わかったからっ」 「あら?」 「なによっ」 「霊夢、貴女、顔真っ赤よ?」 うるさい! そう言ってやりたかつたのに、口から出るのは熱っぽい吐息だけ。私は実は心底このスキマ妖怪のことが好きらしかった。残念ながら。きっと、随分昔から。 「ばかぁ、・・・んっ」 「んっ、・・・霊夢がこんなことしてくれる日が来るなんてね」 「そういう日もあるの」 「そう」 「バカ紫。・・・どこにも、いかないでね」 「ええ、もちろんよ」 どちらからとなく、唇をあわせた。 END
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