ホットミルク

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程よく温められたミルクをこくこくと嚥下する。体の芯から温まる気がして、ほっと息をついた。 「いかがでしたか?」 「美味しかったわ、こあ」 「それは良かった。それでは私はこれで」 本当に綺麗な一礼だ。 頭を上げれば、おやすみなさいませと、そう言った。 きびすを返す背中。 最初は無意識だったが、いつの間にやら私はこあの袖口を掴んでいた。 「パチュリー様?どうしました?」 こあは不思議そうにこちらをのぞき込んでいる。つぶらな瞳には、私しか居ない。 そう、私とこあ。二人だけだ 「レミィと咲夜、フランと美鈴。出かけちゃったのよね?」 「そう、ですね・・・」 「今ここには私とあなたの二人だけ」 「はい」 「今日夜伽を命じるわ」 「よと、・・・っ」 ぼんっと音が聞こえそうなくらい、真っ赤になるこあ。可愛らしい反応だ。 「よとっ、よとっ・・・よ、とぎですか?」 「嫌かしら?」 「嫌とか、そんなんじゃ・・・・・・。パチュリー様は、私でいいんですか?」 「いいもなにも、私はあなたが良いのよ?」 「・・・はい」 真っ赤な顔は相変わらず。 しかし瞳に影る困惑の色が、私には可愛くて可愛くて仕方がなかった。 んふふ、とつい笑ってしまう。 「どうしたんですかっ?」 「なんでも。好きよ、こあ」 「・・・・・・えっ?」 「言って欲しかったのでしょう?だから。愛してるわ」 「はわっ、はわわっ」 余計に真っ赤になって。 その姿が、私を誘惑しているようにしか、思えないのだけれど。 「安眠できると言ったのはあなたよ。責任取りなさい」 「それは、ホットミルクで・・・」 「今頃レミィと咲夜もお楽しみでしょうね。あなたは、どうしたい?」 「・・・・・・・パチュリー様の意地悪」 「可愛いあなたがいけないわ」 そっと抱き寄せて、自然につながる唇は甘いミルクの味がした。 END
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