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「もう酔ったのか?」
涼さんの肩に頭を預けると、ククッと笑われながら肩に手を回された。
くたあ、となって、しばらくそのままの態勢だったけれど、ハッとなり立ち上がった。
「ハル?」
涼さんは少し驚いた顔で俺を見上げる。
俺はというと、ほったらかしにされていたキャメルと100円ライターを手に取り、再び彼の隣に座った。
「……吸うのか?」
「うん、せっかくハタチになったから」
口にタバコを加え、ライターで火を付ける。
…
…
「ゲホゲホッ……」
強烈な煙が口に入り、むせてしまった。
少し涙がでてしまう。
「馬鹿だな。はじめて吸うには重すぎるんだ、キャメル」
手に持っていたタバコを、涼さんはスッととると、自身の口に持っていった。
「あ……」
「ん?」
コロナビールを飲み、タバコを吸う彼は。
「おにーさん、だ」
憧れていて、手に届かなかったあの日の彼だ。
「……久しぶりに聞いたな、その呼び名」
目を細めながら、煙を吐く姿に胸が締め付けられる。
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