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アルバムを置いて俺は直哉兄に言った。
「なんでアルバムなんか持って来たんだよ」
「久しぶりに来たから」
直哉兄は悪い事をした気はないらしい。
チビの姉ちゃんもいたし、すぐ部屋に帰ろうとした。
しかし、玄関から近い階段から見えたのは鞄を持った椎名と学斗。
「え、お前ら…もう帰んのかよ!?」
俺は思わず叫んでしまった。
「あぁ。お邪魔しましたー」
靴を履きながら言う椎名。
「お邪魔しました。また明日な、陽」
ドアを開いて言う学斗。
「ぉ、おぉ…」
何となくわかる。
多分、気遣ってくれた。
「……はぁ。」
俺は独り言をぶつぶつ言いながら部屋を空けた。
「…ったく…なんなのだ…」
部屋に入るとここはここで空気が悪い。
「ぁ………わ、私、お姉ちゃんのとこ行ってくる!!」
チビまでもが部屋から出て行った。
いや、俺は女が消えて嬉しい。
「……へーすけ?」
「陽ー、暇ー。」
へーすけはいつもと同じ口調で俺に言って来たが、いつもと違ったのは…目を合わさずに天井を見ていること。
「…へーすけ」
少しつぶやいた。
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