No.3 過去

2/13
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
夏の日が眩しい季節。 「おかぁさん見て!きらきら!!」 陽がまともに喋れなかった…8歳頃のこと。 「あら、本当ね。おもちゃの車に反射してるわ。」 当時、生きていた母さんは36歳。 名前は早乙女南都子(さおとめなつこ)。 なんで父さんと結婚したのかわからないほど俺から見たら美人だった。 「陽、眩しくない?」 母さんは末っ子の俺を大事にしてくれた。 いつも一緒にいてくれて、いつも優しかった。 「だいじょうぶ!おかぁさん、いっしょにあそぼ?」 「今日は何するの?」 笑顔で聞いてくる母さんは俺の大好きな人だった。 「おかーさーん!せいのおやつーっ!」 「りょうのおやつーもーっ!」 学校から帰って来た成太兄達は昔からおやつ催促を忘れない。 「はいはい。陽、ちょっと待っててね。」 「!やだ!!」 とっさに母さんの足を掴んだ瞬間、母さんの身体がバランスを崩し、 「!!!」 「!!きゃ……」 ゴンッ!!!!!!!… 庭の石に頭をぶつけて鈍い音が響いた。 「………ぉかぁさん…?…」 俺は声が小さくなる。 「……に、にぃちゃぁぁぁん!!!!!陽がっ…陽がぁぁ!!!」 成太兄は兄貴の所に行き、 「ぁぁ………血、血……」 亮太兄が母さんを見て怯えて、 「どうした!!!………!!母さん!!?」 中学生だった総一兄が母さんを見て電話をかけて、 「……」 何が起こった。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!