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「瑠璃は、俺から正気を奪う天才だね」 純輝の家。 ベットの上。 私の頬にそっと手を当てた純輝が私を見つめる。 「違う。 純輝と居ると私がまともじゃなくなる。 私を甘やかして、温かく包んでくれて。 美味しいもの食べさせてくれて、たまにお父さんより口やかましい」 「え?」 純輝のビックリした顔が可笑しくて、吹き出す。 「笑うとか随分余裕だよね」 あ、やばい。 慌てて、真面目な顔に戻す。 「あのね」 「ん?」 「ありがとう」 「何が?」 「全部。 純輝のお蔭で、バイト辞めれたし」 「瑠璃は賢い子だから、俺が居なくてもやめてたよ」 「ううん。 だって、家族の事があったからやめてないよ。 今もきっとやってた。 もしかしたら学校だって行ってなかったかもしれない」 見つかったのが委員長じゃなく私だった可能性だってあるんだもん。 ううん。 委員長は好きな人と一緒になったから結果的には良かったんだろうけど、私は好きでもない男とお金の為にやってたんだもん。 「家族をきちんとできるようになったのだって純輝が居てくれたからだし。 純輝が私を守ってくれたからだよ」
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