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三年の文化祭で初舞台に上がり、そこから失敗とケンカを繰り返し幾度かの解散の危機を乗り越えやってきたバンドだけに、思い出が詰まっていてケンジには執着が強い。
ただ、今のケンジには、小さい頃からの夢を叶えるチャンスを不意にする勇気はなかった。
次第に心はソロデビューに傾いていき、バンドメンバーへの後ろめたさを正当化する理由を考えるようになっていた。
よし、オレが先にチャンスを掴んで有名になり、みんなを引き上げてやろう。
そうだ、そうすれば『アンタレス』を有名にできる!
これが彼の行き着いた答えだった。
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