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「君達才能ないよ」
小さなスタジオに男の声が響いた。
その男にマイクを持った青年が必死の形相で駆け寄る。
「何がいけなかったんでしょうか?」
「そんなの自分たちで考えてよ!ハイ、お疲れ様。次どうぞ」
男は書類を見ながら手であしらった。
その場を離れようとしない青年に仲間が駆け寄り腕を引きその場を後にした。
彼らはスターを目指し、東京のレコード会社にオーディションを受けに来ていたのだ。
そのバンドは、
ボーカル・ケンジ
キーボード・リョウ
ベース・ユウキ
ギター・マサ
ドラム・ソウタの5人で構成され、『アンタレス』と名乗っていた。
地元の千葉で『アンタレス』といえば、小さなライブハウスが一杯になるくらいのバンドで自信は少なからずもっていた。
それだけに、この様な結果で空気は重かった。
埃が舞う『控え室』と書かれた物置部屋でパイプ椅子に座り沈黙が続く。
その空気を打開しようとユウキが口を開いた。
「まぁ、他にもオーディションある・・・・・・」
「はぁ?他ってなんだよ!そんな感覚だからこんな結果になったんだろ」
ケンジは立ち上がり言葉を遮るように口をはさみ、にらみつける。
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