灰色裁判

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一瞬の間隔があった。 風が生まれ、走り、消えていくだけの時間を以て、 「!」 走る者達はその装備ごと断ち割られた。 硬質なものを砕いていく重音が連続し、数十の武器と防具がその機能を失っていく。 軽重様々な装備ごと肉体を砕き割るような攻撃は、404が背に担う大剣によって行われた。 それは斬撃というには重く、打撃よりも直線的で鋭さを帯びた攻撃。 対象に剣を当ててから引き切るのではなく、刃で打撃した瞬間に斬撃を【発射】して敵を装備ごと断ち割るものだ。 ――形は剣だが、奮われる力は刃じゃない。 そう評される大剣型術式デバイス【騎士剣】が使用できる攻撃方法。 重さと鋭さを両立した、審判官のみが持つショートレンジの発射式斬撃に、 「それが断撃か!」 沸き上がる興奮を隠せない、といった表情でスサカドが眼を剥いた。 その背後を走っていた者達は交差の一撃で装備を破壊され、断撃を受けて倒れていく最中だ。 前衛を走っていた者達が倒れていき、 「……!」 その後ろから、404に照準を定めた火器と術式の群が口を開ける。 「やっちまえ……!」 スサカドの叫びの通りの行動が果たされた。 機関銃からフルオートで乱射される弾丸が、 周囲の空気を焼いて突進する極太の光線系術式が、 上下左右あらゆる軌道を突っ走る追尾式の成形炸薬弾が、 実弾術式様々な射撃が集合し、不可避の一閃となって404へ疾走、 「!!」 ぶち込まれた。 打撃と削りと爆発が灰の街に火焔の大輪を咲かせる。 白銀の鎧の最も分厚い部分、胸甲部に威力の集合が殺到した。 鉄琴をばらばらに連打するような高音の連続が響くが、 「……」 その中心に立つ404は平然としていた。 「――!」 術式の打撃を受ける鎧の両肩が展開しており、その中で幾重にも重ねられた術譜が赤熱を帯びる。 自身に向けられた敵性術式に浸透して破壊する、浸透破砕術式砲が襲い来る全てを無効化している。 そして、実弾系射撃も完全に受け止める鎧の、鋼の具足に光が灯った。
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